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ガチャガチャ、、、カタン、、、
今日も真っ暗な家に戻るとダイニングテーブルの真上だけにライトを点けた
あの日から匡哉さんは連日有鉗さんの病院で午後のほとんどを過ごしている
夜遅くに帰っては無理に作った笑顔で、目を覚まさない有鉗さんの悪口を言い、僕のスクールやイスファでの一日の出来事を尋ねた
いつ料理してるのか、三食とも僕の食事をきっちり用意し、掃除も洗濯も僕に任せてはくれなかった
郵便物をテーブルに置き、レッスンバッグから着替えを取り出し、その際床に落ちた発表会の写真と映像の購入申し込み書を拾い上げる
「今は発表会の映像どこじゃないもんな、、、」
僕は他のチラシとともに申し込み書を丸めてゴミ箱に放った
夕食を食べ終え、シャワーを済ませた頃、
匡哉さんが帰って来た
「お帰りなさい」
ソファから立ち上がって迎えた僕は、暗がりの廊下を歩いてくる匡哉さんにギクッとした
酷く疲れた顔の匡哉さんは亡霊のように生気を失っている
そんな顔を僕には見られたくなかったのか、
『シャワーを浴びてくるよ』
といって、バスルームに消えてしまった
気になって洗面所で様子を窺いながら歯磨きをしていると、浴室から出てきた匡哉さんは不意に後ろから僕を抱きしめた
「ま、、待って」
口をゆすぎきらないうちに、僕の口元を取り上げて呼吸を奪うほどの激しいキスをする
濡れた身体は僕を抱き上げて真っ暗なベットルームへと運び込んだ
ベットになだれ込んで重なる口から、静かに
「今日、、、レッスンどうだった?」
と尋ねる声がする
身体をまさぐられながら
「えっと、、、新しい先生が来てね、、、」
「どんな先生?」
パジャマを脱がせながら
だんだんと息が荒くなる匡哉さんを受け止める
「それが面白い先生で、、、」
「ん、、、」
「名前も面白いんだ、、、あの、、、ぁ、、
いっ、、、いたっ、、、い。
匡哉さん、、、少し、、痛い、、、」
熱を持たない唇が、抓るようにあちこちを吸い上げ歯をたてた
いきなりあてがわれた匡哉さんのそれは驚くほどに熱い
「まって、まだ、、、僕、、、」
解されてもない僕は突然の挿入を拒み、怖くなって腰を逃がした
「ごめん、、、」
急に動きを止めて僕の肩に顔を押し付ける
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