優等生

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結局、朝食抜きのまま普通科の生徒と共に授業を受け、ランチを挟んでレッスンフロアへと向かった 腕にはオレンジ色のリボンを付けて。 「あれ?蓮。(きみ)は金色が嫌いだった?」 そんな皮肉を耳にしながらも、自分はまだ赤色ではないのだから、焦らなくてもいいんだ。 と自分で自分に言い聞かせた すでにパテルを得ている少数のレッスン生達は腕に金のリボンを付け、一歩離れて自分達を見ている パテルを得た生徒はその者同士で、今度はそれぞれのパテルの懐具合と受ける待遇を競い合うのだった 「今度のバリエーション大会に出られなければ赤になっちゃうよ」 オレンジのリボンを付けているパテル待ちのクリエンテラからはそんな不安の会話も飛び交う パテルも付かず、バリエーション大会もコンクールにも出ることもなければ、才能無しとの烙印を捺され、最終学期が終わるまで赤のリボンを付けさせられた上に元の施設なり、家庭なりに戻されるのだった とにかく、目先としては半年後の6月に行われるバリエーション大会へ出場することが、 『自分に将来性があり、支援するだけの価値がある』 ということをパテル候補に印象づけ、契約を引き寄せる大きな鍵となる そして今日、このルーンヌィでは バリエーション大会の出場者を選ぶ第一次選考が 行われるのだ 「一次選考だけど、今日はパテル候補の見学も多いだろうね」 皆一様に顔が引き締まり、人が集まりだした二階の見学席へ熱い視線を送る 今日のような選考会でなくとも日頃から自分の抱えるクリエンテラのレッスンを見にくるパテルもいるし、そのパテルが紹介者を連れてくる、というパターンも多い 自分の選んだクリエンテラが大会出場の一次選考を通過するか否かは現パテルも気になるところだから、さながら小規模な発表会のようになっている 「蓮、ちょっと」 倉木は、呼びつけた蓮にパテル募集パンフレットの束を渡しながら、 「初めていらっしゃる方のために、今のうちに各座席脇の小テーブルへ置いて来て」 といった 蓮はまだ身体の準備(アップ)ができてなかった為、急いでフロア入り口とは反対側にある扉から出て、パテル控え室に続く二階への階段に向かった
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