現実

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「最初は根本的な話からさせてもらう。私から君に一つ質問だ。今日は何年何月何日かな?」 「2018年8月26日です。」 俊哉は既にAIから聞いていたため即答した。 ローガンは何か確信した顔をして俊哉を見た。 「ありがとう。ちなみに君の回答は間違っているんだ。月日はあっているんだがね。年が違うんだよ。」 「えっ」 まさかとは思ったが、1年も寝ていたとかそのレベルで昏睡状態だったのか?と予想を越えた発言に俊哉は思いを巡らせた。 「答えを言う前に、今が何年なのかは君の予想を遥かに超えているだろうから、現実というものを受け止める心の準備をしてくれ。これを理解してもらわないと話が前に進まないんだ。」 「はい・・・」 ローガンが真剣な面持ちで話すがために少しの緊張感が伝わってきた。 「今日は2218年8月26日なんだ。」 「え?」 俊哉は聞き間違えかと思って何度もローガンの発言を思い返してみたが、やはり2218年と言っていた。 「山ほど質問したいことがあるのはわかる。だけどまずは受け入れ、次に私が来るまでになんの質問をしようか、考えておいてくれ。あと、そのAIは君が常識人であると思って接してくるだろうから、あんまり変な質問していじめないで上げてくれ。」 そう言うとローガンは俊哉に微笑みかけて部屋を後にした。
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