普遍的な日常

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キーンコーンカーンコーン・・・ いつもの様にチャイムがなり生徒達は長い授業から解放され、各々の目的のために動き始める。 俊哉の場合はいつも寝ていた。 彼は人見知りだった。 幼い頃から内気だった俊哉は、小学校の時は幼馴染みと呼べる存在が三人ほどいたものの、歳を重ねるほど会う機会は無くなり高校生になっても交友があるのは一人だけである。 そんな俊哉は、やはり自分から友の輪を広げることは出来ず、幸運にも席が隣だった澄真に救われていた。 そのため俊哉の休み時間は寝るか溜まった課題を終わらせるかの二つしかなかった。 そしてそんな学校生活に終わりを告げるチャイムがやってきた。 チャイムと同時に帰宅の準備を始める。 「シュン!行くか!」 澄真の声だ。幸運にも澄真と帰り道は同じであり、彼は中学まで所属していたバスケ部には入部していなかったようだ。スポーツは趣味の範囲で行いたかったらしく、今では校外のクラブチームで楽しく活動しているそうだ。 バッグを持ち、正門に行くとそこでもう一人の人物と再会する。 「お待たせー!」 小走りに近付いてくるポニーテールの女の子は他クラスの須野田莉子である。 莉子は俊哉の幼馴染みの一人で、澄真とは高校で知り合ったが澄真の優しい性格は円滑にこのグループを形成してくれた。その上、俊哉の人見知りな性格と澄真の純粋さで、少し危ういはずの三人グループは壊れずに済んでいた。 「友達とテストの点数で盛り上がっちゃってさ」 「こっちも俊哉の点数が悲惨らしいぞ」 「もうその話はいいってーー」 テスト直後はいつもこの話題である。そしてこの後追試までの勉強計画を立てられるまでがテンプレであった。
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