二日目 二人での捜索

2/9
前へ
/30ページ
次へ
翌日、学校から帰ったボクは家で迷い犬のポスターを描いていた。学校の帰りにも探したけど、シロクはまだ見つかっていない。 すると、玄関のチャイムがなった。 少ししてパパが、昨日会ったお姉さんを部屋まで連れてきた。 波打つ濃い茶色の肩まである髪を、うしろで軽く結い上げている。 「こんにちは、鈴原くん。昨日は大丈夫だった? 」 お姉さんはボクの昨日の様子を見て、心配になってきてくれたのだろうか。 「えっと、安藤さんのお姉さん、でしたっけ? 」 「ううん。そういえば、一回ぐらいしか名乗らなかったね。私は佐藤美奈。安藤さんの家に下宿している、大学生よ。あらためて、よろしく」 「よろしく」 安藤は同級生で、ボクは時々彼の家に遊びに行っていた。 二階建てで古い家だったが、夏は冷たい麦茶などを出してくれていた。何より夏休みにゲームをするために、小学生が集まれる家は今時貴重だ。 そういえば、今日も安藤は新しいインディーズゲームをダウンロードしたという話をしてたっけ。シロクのことが心配でよく聞いてなかった。 佐藤さんはボクの手元のポスターを見た。 「それが逃げた犬? 絵上手いね」 「これはレイアウトを決めてるだけです。実際には、シロクの写真をパソコンで張ってプリントするんです」 「今の時代の子どもなんだ。鈴原くんすごいね」 ほめられたのはうれしかったけど、ボクはシロクの絵を見つめて黙ってしまった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加