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終わり行く世界で、最早多くの人は特別な存在以外には余り心を配らなくなったから。
「子供は天からの授かり物だって言われるけどさ、その授かり物と過ごす内にどうしようもなく憎んでいたのよね。こんな最低なもの要らないって」
あの時、恐ろしく刺々しい言葉すら穏やかに語った女性。
何処にでも居そうな普通の人に見える彼女が、シンソウ・カノジョの開発者だと聞いて今も信じられない気持ちがある。
それも、たった一人でほとんどを作り上げたと。
オタク相手の萌えアイテムだって笑われもしたとも。
でも、その姿は綺麗で可愛く、儚く可憐で。プログラムに支配される姿は好みのままに変えられて、誰もが心に描く理想の彼女を手に入れられた。
顔立ちを、体型を、身長を整えて。好みの服装をさせ、愛らしい声をサンプルデータの中から見付け出し、または自らプログラムして作り上げた。丁寧に一つ一つの理想をプレゼントして、最高の想い人をこの世界に呼び出せるツール。
仕草一つ。微笑み一つ。すねる顔も怒る顔も、理想とする最上の愛しさを混ぜ込んで。夢を、理想の形を、心の奥底にしまっていた幻想を虚構と現実の隙間に作り上げた。
けれど、やはり。シンソウ・カノジョは虚ろな存在と笑われた。
ありったけの思いを込めても、返されるのはプログラムのままの行動。
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