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「貴女のガラティアに、与える事も出来るのよ」
自分の喉を指し、それから翼の喉を指して告げる少女。
示された場所には外観をカメオに似せた機械が備わっている。
ペンフィールドのホムンクルスを元に考えられた補助ツールには、脊髄に近い喉元に微弱な電流を放つ装置が付けられていた。
腕から掌は手袋状のツールに因って補うが、頭部への感覚は喉元の機械に因って流される電流で錯覚させるのだ。そこにシンソウ・カノジョが居るのだと。
人は掌と顔、それも顔では特に唇に繊細な感覚を持つ。視覚化されたホムンクルスは、体は痩せ細り足も細く歪で醜悪な化物の如き姿をしているが滑稽さもある。それでも、大脳新皮質に呼応されて表現された姿には妙に納得が行く。
必要な場所が肥大化し、余り必要とされない場所は縮小された姿に。
翼はジェスチャーの意味は理解出来たが、かぶりを振ってから断りを口にした。
「要らない。カノジョは、この状態で完璧なんだ」
「不完全を含む完璧ね。日本人は完全なものを作ればそこからは壊れ行くだけだからと、わざわざ作り損ねた状態にするのよね。面白いわ、とても興味深い」
セイレーンの視線がシンソウ・カノジョに向き、その壊れて音を発せない姿を愛おしそうに眺める。
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