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柔らかな仕草に、翼の表情もほころんで行く。
「そして、私達を欲してくれたの」
多くの人を魅了してきたガイノイドは、ただ優しく笑った。
「ありがとう」
「こちらこそ。貴女達人がいなければ、私達は生まれなかった」
止めていた足を再び動かすと、静寂の中に二つの足音が生まれては吸い込まれ消えて行く。
穏やかな足音。
少し楽しげで、自らが奏でる音楽を喜ぶ様に響く音。
降り積もった新雪は柔らかく、轍のない道に踏み潰されて真っ白な靴跡を綺麗に残す。人と機械の隔てなく同じ足跡を。
何もない譜面に音符が刻まれる如く。
同じリズムで刻まれる足音に、やがて幾つかの足音が追随していると翼は気付いた。
軽やかだった足音に迷いが生じる前に、セイレーンの囁きが放たれる。
「そのまま、素知らぬふりでいて」
犯罪者だろうか。
如何に機械達が未然に犯罪を取り締まっていても、突発的に現れる人の凶暴な面には即座の対処はし難い。
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