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「ウラヌスはギリシャ神話の天空神の名。そして一七八一年三月十三日に発見された、太陽系七番目の惑星の名になるわね。ウラン元素にその名が与えられたのは、発見が同時期だったからよ。混同しているわ」
「だがイリジウムと一緒で滅びを運ぶものだろうよ。貴様等は人を滅ぼす為に、空を衛星で覆い尽くしたんだっ」
イリジウムは、恐竜を滅ぼした犯人の証拠とされた事もある元素だ。巨大恐竜が滅んだ時代の地層に特徴的に大量に含まれるからと。一つの種の滅びを運んだ隕石衝突の証拠として名を挙げられた元素。
男はその点を指摘したいのだろう。
ただし放射性物質としての死を運ぶ特徴と、隕石が一つの種を滅ぼした仮説が男の中で一緒くたになって支離滅裂な言い掛かりとなっているのだが。
言い掛かりだとセイレーンは指摘せず、ゆっくりと確実に男の手に在る凶器を破壊して行く。
無言の行為を翼はただ眺めていた。
見た目は華奢であっても、男より小柄でも、機械であるセイレーンは人間よりも強い力を発揮できるから。
「……貴様が、俺の恋人を奪った」
絞り出される呻きの如き声。
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