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現実に映し出され、束の間の一時だけ実現される夢の形。
シンソウ・カノジョ。
演じる物語もまた虚構で、あえかだからこそ儚くて美しい。時と共に、一片、もう一片と、空の彼方より舞い降りて来る雪の結晶が、つぶさに見れば透き通り、微かな温もりを持つ吐息一つに脆く消え去る様に。
選んだテーマは普遍の愛の物語。
恋をしたうら若き乙女と青年が互いに惹かれあう。
けれど何時も恋は簡単には成就しない。悲しみの内に終わる事も多い。
物語の中、二人を阻むのは権力者、互いの両親、恋敵に神様。
連綿と続く人の心の物語。時に、人以外の者達の愛も綴られるけれど。
そこに現れる障害は、思春期に到達した拙い恋愛へのひそひそ話と大差ないと意識する者は居るだろうか。ささやかな噂の一つさえ、初恋には大きな障害に成り得ると。
成就の奇跡は物語の如く起こり得るのだろう。そうでなければ語り継がれはしないから。
けれど今はもう、世界に残された奇跡への時間は余りにも少ない。
発達した人工知能がなければ、とうに人は絶えてしまっていたのかも知れないこの世界。
仰ぐ天には、雪の結晶にも似た異空間が広がっている。
雲間からのぞく滅びの先触れが。
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