カストルとポルックス

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「太陽の黒点がって話は?」 「そっちはね、まだ関連性が良く解らない。間氷期が終わりに近付き、氷期に入り始めているって話もあるけれどね」 「もう、誰も観測なんてしていないでしょうね」 人は減り、代わりとして機械達が様々な研究を引き継ぎ、多くの分野で目覚ましい発展があったと言うけれど。 覚束ない足元を慎重に踏み締めながら、とりとめの無い話題で時間を潰す。 「ねぇ、ふたご座ってどれか解る?」 呆れられるかもと思ったが、素直に分からないと暴露して聞いてみれば、ティオは足を止めて数歩遅れている紫苑の側へ来ると柔らかに肩を抱いて空の一点を指し示した。 腰を屈め、視線も紫苑の高さに合わせてくれて。 紫苑はこのティオの優しさが大好きだ。 「黄道十二星座だからね、太陽と月の通り道に重なる位置にあるんだ。あれ、カストルとポルックス」 二つの一際輝く星が見える。 紛い物の雪の結晶の輝きが、その姿を朧に涙に滲む様にしていた。 「カストル、ポルックス」
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