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醜いなと思う。綺麗な死を望んで、自殺の為にここまで来た自分は。
ああ、でも今の時代、いかに穏やかであってもこの無惨な望みを叶える人は多い。
理解出来ないものに飲み込まれるのが怖くてしょうがないから。
もう視界を確保しているのさえ辛い。
(でも伝えたい、伝えなきゃ)
眠気を振り払い、懸命に言葉を繋ぐ。
「……貴方達は優しい心が有る。人の様に嘘も吐けるし、人の嘘を理解して付き合ってもくれる。魂は有るよ」
「紫苑」
「だって、心の粒子は貴方達から発見された。だから、きっと貴方達にも心は有る。そして魂も……」
この場合、どちらがカストルでポルックスなのだろう。そう思いながら紫苑は、どうしようもなく重くなる目蓋を閉じてしまう。
神様どうか彼等にも心が有り、魂が有るのだと証明して下さいと、天を覆う雪雲に隠され見えない星の流れに願いつつ。
その流れの潰えぬ内に、願えば叶うと伝わる星の欠片に。
機械の心を想い。
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