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グラタン、シチュー、カレー。ここに滞在する子供達には人気のある、クリーミーな舌触りのメニュー。その一つ。
最近は良く作る為に、具材に工夫を凝らしているものの、余りに変わったものを入れては美味しくないと不評も買うから困ったものだ。
(終わりのその時まで、生き抜いて欲しいとするのは傲慢なのかしら)
移動したキッチン・スペースの中でこまめに動きながら、付け合わせのサラダやトーストを用意して行く。
食後のデザートとして小ぶりなリンゴを取り出し、くり抜いた芯の部分へレーズンとバター、シナモンシュガーを混ぜ合わせて詰め込むと、グラタンとは別のオーブンへ投入して焼き始める。
丁度良いタイミングで、焼き立てを提供出来る算段だ。
「ただいま」
「はい、お帰りなさい」
二人は見計らった様に、先程まで緑が休息を取っていたスペースで顔を会わせた。
少女の肩には雪が積もっている。
「あら、また降って来たのね」
暖かな室内の気温に、それは見る間に溶けて透明な雫と変わって床へと滴り落ちて。
彼女の足元だけに小さな黒い染みを残す。
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