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暴風の如く荒れ狂った人の愚かな争いを鎮める為に警察へ導入された機械。
それがリョク。
自立性の高さを謳い、弱者を守る為に導入された筈が、人の予想の範疇を超えた働きにむしろ危険とされ、廃棄され。
人と共に在り、寄り添うものとしては失敗品だとされた。
更地にされた人工知能のノウハウは、失敗を踏まえ二度目にして成功となったのだろう。
まぬがれぬ破滅を観測しながら時は流れ、元より理性の塊の如き機械はさらに発展して凡庸さを持ち得ている。
今ではマシーナリー・インテリジェンスと呼ぶべき人工知能の方が殆どで。
人の関与していない機械の誕生を危惧した者は居たが、混乱の最中、自分達を守るものをと願う思いの前には都合良く消された。
人が作り上げたAIは、とっくに追い抜いた博識さ。持て囃された深層学習を超え、機械同士の教師なし学習で得た自由度と自立性に確実さ。より人らしい心の在り方と、人に寄り添える思考を手にした機械。
MIに、極初期のAIに見られたアルカイックさはない。今では上半身に比重を置き、感覚をつかさどるペンフィールド・システムの繊細かつ丈夫な機器を登載し、見た目さえ人そのものとなっているアンドロイドやガイノイドは姿を人よりも多く見られるのだから。
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