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「凛太朗、誰にも言わないでね」
俺は誰にも言わないと、男の約束をする。
「麻里先生ね、麻里先生のスマホを置いて出て行ったみたいなんだ。
お父様が小さい声でお母様に話してたのが聞こえちゃったの。
お母様が泣きながら、麻里先生らしいって言ってた」
俺は天井を仰いだ。
何が麻里先生らしいだよ。
泣きたいのは俺の方だ…
「星矢、そのスマホってまだ家にあるか?」
星矢は残念そうに首を横に振った。
「お父様がスマホを入れた引き出しを、僕は何回も探したんだ。
凛太朗に渡したいって思ったから。
でも、もう、なかった。
どこを探してもないから、絶対にお父様は捨てたんだと思う」
俺はまだショックを受けている。
スマホを置いていった麻里の覚悟にも打ちのめされてるし、スマホを探す星矢の健気さにも何だか落ち込んだ。
「星矢、ありがとうな。
大丈夫だから。
スマホなんかなくても、俺と麻里先生の心は繋がってるから、大丈夫だよ」
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