当たり前に、溺愛

42/49
前へ
/297ページ
次へ
私はしょうがなくその人にスペースを作ってあげると、またスマホをいじり始めた。 そして、やっとスマホにイヤホンを差し込んで両耳にセットする。 大好きなアリアナの歌を選んでホッとしながらその歌を聴いていると、隣の人が突然私の右耳のイヤホンを抜き取って自分の耳に差し込んだ。 は?? 私はあまりの驚きにその隣の男を凝視する。 「麻里ちゃん、いつになったら気付いてくれるの?」 今度は唖然とした。 私のイヤホンを取った男は、何を隠そう凛様以外の何者でもなかったから。 「凛様、車は?」 「乘ってないよね~~ だって、ほら、電車に乘ってるんだから」 凛様は私のバカみたいなコメントに呆れて笑うしかないみたい。 「俺が後ろを歩いてるのに全く気付かないし」 私は何も言えなくなる。 だって、本当に全く気付かなかったから。 「ごめんなさい… とにかく遅刻だけはしたくなくて、それしか考えてなくて… 凛様がそこにいるなんて思いもしなかった」
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1690人が本棚に入れています
本棚に追加