当たり前に、溺愛

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でも、一緒に帰る約束は、中々現実的じゃなかった。 凛様の仕事がどういうものなのか、私の想像力では何も分からない。 でも、凛様は確実に周りの信頼を勝ち取っているらしい。 それは、会長と専務の会話から私の耳に入った。 「元々が人に好かれる性格だから、ちゃんとこの会社の現状に取り組む姿勢を見せれば誰も文句は言わない。 案外、綾よりも、経営者の素質はあるかもしれない。 色々な物事に対しての飲み込みの早さが群を抜いている」 とか、他いろいろ。 会長も専務も、凛様の活躍が思っていた以上で驚いているみたい。 私は何だか嬉しかった。 凛様は全てにおいてクールなイケメン御曹司。 やればできるし、できるどころか何なくやってのけて称賛までもらってしまう。 様々な凛様のギャップに私の胸のときめきは落ち着くどころか更に盛り上がって、ときどき涙を誘った。 好きになり過ぎて、自分の心をコントロールするのが難しい。 でも、コントロールしなきゃ… 結ばれるなんて、夢のまた夢なんだから… そんな風に、毎晩、星矢君の部屋で凛様と顔を合わす日々がしばらく続いた。 たまに廊下で抱きしめられたり愛を囁かれたり、親密で秘密の凛様との関係は、ある日、想像もつかない出来事で私の心を打ち砕き、そして、その関係も断ち切られた。
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