悩まし気な、難敵

2/67
1686人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
だから、俺は、今までの人生、全ての責務を放棄して生きてきた。 自由という素晴らしい言葉の意味を、見いだせずにいたから。 結局、俺には自由はない。 この家の長男として生まれた俺に、自由も希望も夢の一つも何一つ。 それが数か月前の俺だった。 今の俺は、自分の目指す場所を模索している。 俺の目指す場所… それは、麻里を幸せにする全ての世界。 麻里が100%幸せを感じる世界。 俺は何をするべきかもう分かっている。 でも、時には強引で、麻里を泣かせてしまうかもしれない。 手段を選ぶ事は慎重にしたいけれど、でも、そんな綺麗ごとでは済まされない時もある。 難敵はそこにいる。 でも、その難敵は、麻里を愛し麻里も愛している。 難敵の破壊力は凄まじい。 その攻略法を、俺は中々見つけ出せない。 もう時間は迫っているのに…
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!