とりあえず、再会

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「麻里ちゃん、そこの発注書を入力してくれる?」 主任の大木さんが、私の状況も見ずにそう頼んでくる。 「主任、私、今日、五時から面接が入ってるんですけど」 何度も言ったよね? これで三回目だし… ここは下着の老舗メーカーHAKASEの促進販売部の発注係。 ネット注文は専門のパートさんが受注し発送まで行ってくれるけれど、百貨店やメーカー持ちのショップへの受注はここの係の仕事。 大手の下着メーカーに就職できただけで有り難い事なのだけど、とてつもなく地味な仕事な上、いつも何かと忙しい。 私は腕時計を見て、もう時間がない事に慌て始める。 「主任、ごめんなさい。 ちょっと、8階の会長室まで行ってきます」 私はきりが良いところで仕事をやめ、急いでエレベーターホールへ向かった。 銀座の一等地に自社ビルを構える我が会社は、創立70年の歴史と知恵と人材で、バブル崩壊などの不況にも負けず確固たる地位を守っている。
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