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室内にテレビの声だけが響く。 央雅は動きのなさそうな2人から同じ画面が1秒たりとも続かないようなその画面に目だけを向けた。 ニュースではなく、どうやらバラエティーの方に内容が変わりつつある。今はどこか遠くのグルメを紹介しているようだった。聞いたこともない地名だ。 「この荷物を、預かってもらいたいんです」 画面越しの雑踏のような声に混じって、虫の羽音のような声がした。 央雅は目線を眼前に戻す。 少女は自身のように抱きしめていたバッグを涼雅の方に突き出していた。 「え。え? 預かるの?」 「3日間。預かってください。それを過ぎても私が来なかったら、貴方の判断で処分して」 「俺の判断って……」 「燃やすなり、海に捨てるなり、なんでもいい」 少女は突き出していたバッグを押し付ける。 腹部にそれが押し当てられる。中はパンパンに詰まっているのに、それらの感触は押し当てられても見当がつかなかった。 少しだけ考察していた時間を少女は決断している時間だと思ったらしい。ぎゅっと硬く目を閉じ、俯いたままバッグを更に押し付けた。 「……分かった」 涼雅は得体の知れないバッグに両手を添えた。 その返答を聞いたわずか数秒だけ、少女は雲の隙間から差し込む日差しのような笑みを浮かべた。 「承るけど、でもなんで俺たちのところに? というか、どうやって俺たちのところに?」 「……この場所を教えてくれたのは、情報屋さん」 涼雅は「ンの野郎」という唸るような声を背後で聞いた。 同じそれを聞いたであろう少女は弁明するように両手を胸の前で広げ、左右に振る。
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