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『契約』を終え、少女を再び外まで送り出す。
「本当にいいの? 俺のバイク2ケツ出来るから違反じゃないよ?」
違反。その響きは2人にとってもはやガラクタだった。自分で口に出しながら涼雅は可笑しくて口だけ笑う。
全く同じ感想だったのか、はたまたそれとは別の思うことがあるのか、少女もぎこちなく笑った。
「これから行く場所を決めるので、送ってもらう先に心当たりがないんです。だから大丈夫」
「そう?まぁあんまり歓迎しちゃだめなんだけど、『荷物』のことで何かあったらまたおいで」
手持ち無沙汰になった少女は長い丈を握りながら、こくりと頷いた。
それから頭を下げる。
気分の良い笑みを浮かべ男らしい無骨な手を振る涼雅にまた頭を下げる。彼のその奥には目つきの鋭い男が不機嫌そうに立っていたが、事が丸く収まった今はそれに頼もしさすら覚えた。
彼らならきっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせてから少女はその場を走って立ち去った。
乱れた髪を揺らしながら走る少女の姿が見えなくなってから涼雅はドアを閉める。
「にしても、どこにしまおうか」
鍵を閉めながら既に室内に引っ込んだ央雅に声を投げる。
「金庫にでも突っ込んどけよ」
投げやりの返事だった。
その声の方に戻りながら「入るスペースないでしょ」と返す。
「あ? じゃベットの下にでも突っ込んどけよ」
「俺のベットの隙間狭いから無理だわ。お前のは?」
「無理」
「ダメじゃねーか」
涼雅は部屋の中央に置いていたバックを持ち上げる。
仕事となった以上興味があるのか、央雅も横に並ぶ。
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