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「おい」とキッチンに声を飛ばすと、「なに」と答えながら涼雅が2人分の皿を持って出てきた。今日の朝食はトーストらしい。 ローテーブルに置きながら「ジャムは?」と央雅に尋ねる。 「いらね。……それより何時に出てく気だよ」 「あそこ何時からだっけ?」 「あそこってどこだよ」 どこに行くかは検討がつくが、あえて聞いておく。 「どこってギャビンのとこだよ」 相手もそれに気づいているのか、呆れたように答えた。 この場合は相手の考えがわかるとかではなく、この時間帯に自分たちがいける店とこの場合に行くべき店は数少ない。 「あの女のとこかもしれねェだろ」 「いや行くかもだけど! この場合はあっちの子でしょ」 結局、依頼人である少女はこなかった。処理していいと言われているのだからもう何をしても怒られはしないだろう。 涼雅はバッグの中から例の熊のぬいぐるみの中身を取り出す。 街にロッカーはいくつかある。情報屋に頼みそれらを監視カメラの映像から探し出す手段もあるが、それよりも早く結果が出る場所がある。 「央雅ちゃんもついてくるー?」 ロッカーの鍵をズボンのポケットに突っ込み、ソファーにすわりパンをかじる。 「ここブッ壊したクソ野郎に借りがあるからな」 そう答えてトーストに歯を突き立て、そのまま力任せに食いちぎる。 パンくずが飛び散った。 「じゃ、9時集合な! 遅れるなよぉ?」 やけにテンションの高い同居人に冷ややかな視線を浴びせているとテレビに呼ばれた。 画面の女性アナウンサーが真剣な顔つきで『9時のニュースをお伝えします』と宣言し、手元の紙を読み上げる。 「で。何時集合だって?」 「9時半ぐらいが妥当かなって思うんだけど、どうですかね」と急に真面目な声で。 「遅れんじゃねェぞ、ボケ」
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