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「まぁそう言わないでさ、せっかくのオフだし謳歌しとこうっていう提案。悪い話じゃないだろ?」 「……」 少し考える。 確かに、久しぶりに何もない日だ。まだ昼前だし今から予定と立てても十分に間に合う。 ふと足元に視線を落とす。何冊も重なった雑誌類がそこに積まれている。漫画雑誌。週間雑誌。涼雅がどこからかもらってきたカタログ。 暇つぶしにと手に取ってみるがもう何回も読み返したため、手に取ってもすぐに山に戻している。これらを捨てて、新しい雑誌でも買ってくるのもありかもしれない。 狭い室内に目を配らす。次に目についたのはテレビとは反対側の壁際に置かれているポールハンガーだった。そこにかけられているのはタオルやパーカー、そしてライダース。それぞれ二人分ある。 ライダースを見て、ふと思い至る。バイクのメンテナンスでもしとくべきかも知れない。自身の休養もいいが、そちらも気にかけなければ。 「……」 涼雅は綺麗にパスタをまとめながら、となりの様子を見て口角を柔らかく持ち上げる。 相変わらずつまらなそうな鉄仮面だけれど、先程まで無気力に伏せ気味だった目が少し大きくなる。今日するべきことを見つけ、ようやく目が覚めたのだろう。 さきほど言ったことを忘れて出かけるようならばさすがに止めよう。それ以外口出しする気は無い。 そういえば、結局昼飯はどうすることになったんだっけ。 それを確認しようとしたところで、ノックする音がした。
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