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2人似たような目つきでずっと後方にある玄関の方に目を向ける。 ここを訪ねてくる客人は皆無に等しい。 職業柄よく顔を合わせる人物にも住処を教えたことはない。 だが、見ず知らずの人物に住処を特定されることは、恐ろしながらも珍しい話ではない。 敵か。味方か。 多いにあり得るのは後者だ。 涼雅は手にしていた食器をテーブルに戻す。その反対側では音がした方を凝視しながらも、テレビのリモコンを探り、素早く電源を切った。 可能性が高いのは後者だが、まだ前者の可能性は否定しきれない。 涼雅は隣に目配せをする。 央雅はまず首だけを涼雅に向け、遅れて目を素早く向ける。 ノック直後より、幾分か双方の目つきが大人しくなる。 敵ならばとっくに次の行動に移っているはずだ。移っていなければならない。 けれどそれもない。 客か? 央雅のつり上がった目がそう尋ねてきたので、涼雅は静かに首を横に振る。 そんな予定は入っていない。 2人警戒したまま顔を見合わせていると、再びノックする音がして弾かれるようにまたドアの方を見つめる。 だがその音は先程よりも切羽詰まっているようだった。 今度は間を空けずに、何度もノックが繰り返される。激しく呼び立てる割に、なぜかその音は慎ましい。ただただ音だけが繰り返される。 涼雅はゆっくりと腰を上げた。 そのまま足音を出さずに玄関へ向かう。 涼雅がリビングを出たあたりで央雅も腰を上げた。 少し姿勢を低くして足音を殺しながらも前進する涼雅をリビング入り口で見届ける。 その間もノックは鳴り止まない。 異常なまでの呼び出しだが、尋ね方は正常だ。 もしかしたらただ急ぎのようなのかも知れない。 玄関の直前で考えを曲げた涼雅は「はいはーい、今開けますよー」と人当たりの良い声を出す。 そしてドアを開けた。
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