第一章 君の陰毛を抜きたい

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木村は、俺を連れて行きつけのラブホテルに向かった。彼女とは、いつもラブホテルの前で待ち合わせをし、現地集合現地解散デートを繰り返しているそうだ。 なぜか、だんだん君のことが不憫でたまらなくなってきた。君をもっと大切にしてくれる男なんて、いくらでもいるはずだ。なぜ、こんな男に身も心も消耗しているのか。 路地裏の一角に、古びれたラブホテルが現れた。明らかに、どう見ても値段の安そうなホテルだ。ホテルの前には、挙動不審な君の姿を確認できた。 木村の顔を見るなり、君は「あー、今日もブッチされるかと思ったぁ。」と、ホッと胸を撫で下ろした。木村は彼女の顔をみるなり「今日は、こいつに2万で陰毛抜かせてやって。」と言い放った。 はぁ?2万? 僕は5万払うって言ったから、マージン料で3万木村が貰うってこと?どれだけ、この男はボッタクリしてるのか。 「わぁ、それだけでそんなに貰えるの?」と、君は目をキラキラさせて僕を見た。大きな瞳に、思わず吸い込まれそうになったと共にいたたまれない気持ちになった。 君には、もっと自分を大切にしてほしい。つまらないことに時間を消耗して、つまらない奴に身も心も捧げないで欲しい。 僕は思わず、君の手を掴んで一気に路地裏を走り抜けた。木村が「ちょっと、お前!どこ行くんだよ!」と怒鳴る中、俺は訳もわからぬまま泣きながら走り続けた。
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