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「ふぅん」と君は宙を見つめて、しばらくしてこう答えた。
「あのさ、私は別にいいんだけどさ。あんた、私のモノ色々盗んでるよね?死神がさぁ、そんなことしていいの?閻魔様に怒られないの?」
えっ。と、僕が狼狽えると「クラス中の噂だし、あんたが私のモノを盗みまくってるの知らない人いないよ」と笑った。
「まあ私の場合、父親は私が小さい頃に女作って出て行ってるし、母親は毎晩男を取っ替え引っ替え。
木村は私にパトロン用意してくれるだけで、別に彼氏でも何でもないの。ただ、いつも一緒にいるからみんなカップルだと思ってるだけ。
私は、自分の手術代を稼がなきゃならないから身を削ってるだけ。こんな私でも、死を直面すると生きたいって思うの。
一度でもこの世に生まれたからには、たった一瞬でも良いから幸せを感じたいって思っててさ。
誰からも愛されてないような女に、ここまで執着する男はあんたが初めてだよ。こっちはこっちで、あんたのこと面白いから観察してたの。」と言って、君は屈託なく笑った。
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