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君は、僕の窃盗を容認の上で俯瞰していたんだね。不思議な人だな。いつも、君は遠くを見つめ寂しそうな顔をしてた。
「本当は、もっと生きて欲しいんです。でも、僕から「もっと生きてください」とは言えないんです。
寿命を延ばすことも出来ないし、ただ君の死期が訪れたら黄泉の国まで案内しないといけなくて。役立たずでごめんなさい。おまけに、君に迷惑をかけてばかりです。
でもこんな僕に最後に付きまとわれて本当に申し訳ないのですが、僕はあなたと出会えて良かったです。
今まで業務遂行を淡々とこなしてきただけだったのですが、あなたに出会って初めて自分との葛藤に苦しみました。初めて、死神として誰かを失うのを辛いって思ったんです。」
僕は、ありったけの想いをこめて君に伝えた。君は涙を浮かべ「ありがとう」と言いながら、陰毛を自ら抜いて僕にくれた。
「あなた、これが欲しいんでしょ。あげるわ。お金いらない」と言って、君は笑った。
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