第一章 君の陰毛を抜きたい

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-1年後- あれから1年が過ぎた。彼女の死期を無事に迎えた僕は、任務を遂行した。 人の死を迎えることが、こんなに苦しいだなんて。涙をこらえ、君の手を引いた。君は、自分の死を既に受け止めている表情だった。 僕は、これからも人の死を迎える業務をこなさなければならない。人に感情を抱くことも、愛を告白することも出来ない。死神として、人間界にひっそりと生息し続ける日々を繰り返すだけだ。 人間は、僕と違って寿命がある。限りある日々の中で、人を信じ、語り合い、そして愛するのだ。感情を持つことを許されない僕と違って、短いなりにも有意義な時を過ごしているのではないだろうか。 もし、僕に生きる時間が決められているのならば。僕は、一体何を想い、何を考えて生きるのだろうか。 お金を稼ぎたいだろうか。旅をしたいのだろうか。美味しいものをたらふく食べたいだろうか。富と名声を求めるのだろうか。人を愛したいだろうか。 君のモノを盗んだころに思ったのは、欲は深ければ深いほど報われないということだ。 欲を埋めれば、次の新たな欲が出る。満たされない心とは、つまり欲に支配されているからではないかと思うのだ。 僕は、これからも閻魔様の言う通りに業務をこなし続けることになるだろう。 辛いことなんて腐る程あるけど、それでも辛い時は、あの日貰った君の陰毛を眺めて気持ちを奮い立たせている。 おわり
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