第1章

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 そこで、ぼくは微睡みから完全に目が覚めた。  様々な建造物がぼくの鼻先で止まっていた。  震えていたけど、ホッと一息ついて胸をなで下ろした。  なんでもなかったのだろう。  夢から覚めてもこの通りなのだから。  さあ、南に行こう。  空を見上げると、どんよりと曇り空だった。鳥の鳴き声もしない空。けれども、誰かの呼ぶ声がする。  ぼくを呼んでいるの?  自動販売機の列を追いかけて、南へと向かう。  ちょうど、駅の方だ。  喉が乾いたら、清涼飲料水を自動販売機から買って。  夢中になって、南の方へ行く。  ぼくの隣の建造物には、コンビニやビルディング、大型チェーン店の牛丼屋、ファミレス、蕎麦屋などがある。  無人なので、とても不気味だったけど、どうしてか親近感を覚える。  目が再び覚めた。  目の前にはレジがある。  お客は一人もいなかった。  さっきまで空腹と喉が渇いていたぼくの。  お客たちで密集されていたコンビニエンスストアでの出来事だった。    
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