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バッドエンド
そこは、薄暗い部屋だった。
天井近くに1つだけある窓にはカーテンが引かれていて、開けようにも届きそうにない。やけに霞みがかった頭を1つ振ってから、その隙間から差し込む光を頼りに部屋の中を観察する。
あの日、俺が捨てたものがあった。
あの日、俺を捨てたものもあった。
パツンと音がなり明るくなる。大きなモニターの電源が入ったらしく、煌々と放たれる光が暗がりに慣れた目に染みた。
「おそよう! お寝坊さんだね」
もうオヤツどきだよと、映しだされた人物が無邪気に笑う。よく知っているその笑顔を、こんなにも冷たく感じたことはなかった。だから、いろんな疑問を差し置いて吐く言葉など「どうして」以外にありはしない。
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