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「国の気質は単純に馬鹿に出来ない資質よ。実際マメじゃない、あんた」 「そういう理屈っぽいところ、『日本人らしくて』好きだよ」 「ありがと」  勿論ヨルクのそれが皮肉だというのは理解していたが、知らぬふりをした。  海底に到着するまで我慢しろとは言うが、時間を持て余す事に変わりは無い。ガリーナが海洋生物研究の専門家であれば、研究の為、海底に到着するまでの間で様々な生体を観察する時間と機会を与えられるのであろう。が、生憎彼女は海底の地質調査を専門とする人間であった。  当然、海洋研究に携わる人間として、海洋生物の知識も持っている。だがジェイクの様な専門的知識は無いし、水質調査班の指揮を執る沼袋教授程の聡明さがある訳でもない。ただ、ガリーナは地質と海洋環境に興味の矛先を向けるだけだ。     
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