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ヨルクが、カメラ越しに確認した答えを口にした。うん、とガリーナは頷く。
本体のガラス球が半径九十七センチのシーオより、その頭蓋骨はずっと大きかった。
古生代から続く地球上の生物史の中でも最大と目されるシロナガスクジラでさえも、このサイズの物は有り得ない。大きな口を開ければ、シーオを丸呑みに出来そうなサイズのクジラなど、これまでの生物史では有り得なかった。
だが、現代では。
遺伝子汚染の広がった現代の、ましてや人智の及ばぬ領域のまだ多い海中世界に於いては、その不可思議は常識と成り得るのだ。
「毒素の影響かな」
ガリーナは口に出してみるが、ヨルクは否定的だ。
「どうだろうな。放射能漏れの影響はあるんじゃないか」
「放射能とかいうSFご都合主義要素は嫌いよ。奇形生物やガンになる可能性は増えても、巨大化なんて。ゴジラだけで十分だわ」
「でも実際、巨大化生物の目撃例は増えてる」
「海でなら、ね」
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