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あのときだってそうだった。
人生で初めての彼氏と、人生で初めての大げんかをしたあのとき。
きっかけは確か、春樹が他の女子と2人きりで昼食を食べているのを見かけたからだっけ。
理由を問い詰めたら春樹が怒って、その態度に私も不安になって。
ひどいことをたくさん言って、家に帰った。
「ねえ、おデブさん。どうして春樹は怒ったのかな。」
おデブさんはすべての答えを知っているかのように、ニッコリと笑う。
「知ってるなら教えてよ・・・。言葉にしなきゃ分からないよ・・・。」
茉莉は目頭から溢れる涙を拭った。
だけどおデブさんは何も言わない。
「言葉が無きゃ心なんて通じないのに、私に何も言わずに、他の女の子とベタベタしちゃってさ・・・。
そんなの不安になるに決まってるじゃん・・・。」
だったら、私はどうだろう?
私は春樹に、どんな言葉を送っただろう?
初めっから浮気だって決めつけて、強い言葉をたくさん口にした。
春樹はそれをどう受け取ったんだろう?
「もしかして、春樹も不安だったのかな?
私に信頼されてないかもって不安になって、だから怒ったのかな?」
おデブさんは肯定の意味を込めてニコリと笑う。
「・・・明日、もう一回春樹と話をするよ。
落ち着いて、ちゃんと言葉を交わし合えば、お互いの気持ちが分かるかもしれない。
そういうことだよね?おデブさん。」
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