1人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
出会い④
つい成り行きで家に来るかと言ってしまったが、これから先どうすればいいのだろう?過去に何があったのか、今までどうやって生活していたのか、子供が1人消えて警察沙汰にはならなかったのか、学校はどうしていたのか、そしてこれからどうするのか。聞きたいことは山々だか、今は止めておこう。興味本位で聞いてしまっては傷つくかもしれない。
「おーい、先に風呂に入ってきなさい。それからご飯にしよう。」
「あ、はい。」
かといって、何から話をすればいいのかも分からず、時間はすぎていく。食事をしながらでも聞いてみようと思った。
「うまいか?」
「はい…久しぶりに食べました。」
「…いったい何日あそこにいたんだ?」
「わ、分かりません。」
「そっか…。ご両親はどうしたんだ?酷なことかもしれないが 、答えてくれないか?」
「…親は…いません…でも、施設から引き取ってくれた方はいました。」
「その人は何処にいるかわかるか?」
「…わかりません…気がついたらあそこで寝てましたから…」
「じゃあ、捨てられたってことか…?」
気がついた時にはもう遅かった。その子の顔にはすてに、涙が頬を伝って流れていた。
「わ、悪かった…無神経なこと言って…」
「あ、いいえ…そんな…こと…」
「……。」
そう言った後、涙が溢れんばかりに流れていた。俺は無意識にその子に寄り添い抱きしめていた。
「本当に悪かった…辛かったんだよな…思い出させて悪かった…もう泣くな…」
「ぅぅぅ…ぐすっ…ひっく…」
「よしよし、大丈夫…」」
そしてそのままその子を抱きかかえ、布団に入った。安心したのか、吸い込まれるようにして眠っていった。
最初のコメントを投稿しよう!