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寛哉と友達になって1週間。
特別何か変わった事は当然だがない。
電車で会っても軽く挨拶する程度。
なぜなら、寛哉には寛哉の。オレにはオレの同じ学校の友達がいる。
その友達を差し置いて他校のオレ達が急に話すのはあまりに不自然。
初めて軽く挨拶した時でさえ、お互いの友達に質問攻めにあったぐらいだ。
それならそうとそれをきっかけに話しかければいいのに、友達が寛哉に気後れしてしまい近づけない。
チラリと寛哉の方を見れば…どうやらあっちもそうらしい。
毎朝顔を合わせるが、会話できない状態で1週間。
その分、毎日何かしら朝とか、休み時間とか、夜とか。暇な時にLINEでのやり取りや電話はしていた。
それはその日見たテレビの話だったり、授業の話だったり、友達の話だったり。他愛もない話ばかり。
そして今日も──。
葛西 寛哉『もうすぐテストだね』
近藤 閃『だよなぁー。今回マジでヤバい。数学がヤバい。寛哉のとこは進学校だからやっぱり問題難しいのか?』
葛西 寛哉『そういう風に言われたの初めてかも』
近藤 閃『何が?』
初めて??
ベッドに身体をダイブさせ、返事が来るのを待つ。
葛西 寛哉『進学校に通ってるからテストなんか楽勝だろって言われることの方が多い』
なんだそりゃ。
近藤 閃『それって…周りのヤツらも同じ学校だし、条件同じなんじゃねぇーの?』
葛西 寛哉『そうなんだよね。だけど、違う学校に通ってるヤツとかにはよく言われる』
ふーん…
近藤 閃『で?その寛哉くんは学年何位なわけ?』
葛西 寛哉『生徒会役員だからそんなに悪い順位ではないよ』
……生徒会役員???
思わずガバッと起き上がる。
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