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1年以上も電車通学をするとそれぞれに『指定席』というものが出来る。
オレは4両目の一番後ろの出入口。
アイツは同じ車両の中央出入口だったはず──。
ふと、手が触れた瞬間を思い出す。
電車がグラッと…いや、その前だ。
揺れるその前に「あの…」って声を掛けられたんだ。
そして、振り返った瞬間に電車が揺れて、アイツがオレの手を掴んだ途端──。
カシャン──。
それは手錠のような音。
お互いびっくりして見つめ合ってるうちに、アイツの降りる駅に着いた…んだよな?
「向こうの方から話しかけてきたのならば、明日こちらから話しかけてみるのはどうかねぇ?」
「そうだな。昨日話しかけられた気がするんだがと、聞いてみたらええ」
祖母と祖父の話にうーん…と唸る。
あの電車内の注目の的に話しかけられるのか???
答えは「否」だ。
無理だろう。普通に考えて──。
あぁー、やめやめ!!明日のことは明日のその時になって考える!!
というか…。
「なんで、みんな俺の相手が男なのに驚かないわけ?」
「ん?…あぁ、なんていうか。あんたなら有り得そう…だから?」
「そうだなぁ。閃は身長は高いが、顔はどちらかと言えば綺麗とかカワイイ系だしなぁ」
「煌や照は晴臣(父)似だが、灯里(母)に似てるから女顔だしの」
「大丈夫じゃ、わしらはお前がどっちに転ぼうが支えるでな」
「いや、オレめっちゃ女の子好きだから男とはちょっと…」
俺の言葉に、父がチッチッチッチッ!!と人差し指を揺らす。
ガシッと肩を組まれ…
「あきらめろ。もう音を聞いたからにはその呪縛からは抜け出せん」
呪縛──。
『自家発電でも萎える』
そんなまさか。。。
「まぁ、それは相手にも言えることだがな。どんなにイケメンだろうが、ヤリチンだろうが、今後はお前にしか反応しない」
それが本当に運命ならば──。
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