コスモス

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コスモス

体育祭も文化祭も終わり中間テストにはまだ時間がある、そんなある日、白谷沙羅がポツリと呟いた。 「隣のクラスの城田、今日も休みだったね」 言いながら昼食のカツサンドをひとつ、ツボミの前に置いてやる。 「うん、インフルエンザって話だけど、中絶手術って噂もあるしねぇ」 沙羅の向かい側に座った伊里優子も卵焼きを自分の弁当箱のフタに乗せ、ツボミの前に差し出す。 「ぐぬぬ」 奇妙なうなり声を漏らしたツボミは、やがて、 「ああもう、ふたりとも愛してるよ!」 喚いて、優子の卵焼きを一口でたいらげ、沙羅のカツサンドにかぶりつく。 「やっぱりうめぇ、ウチの購買のカツサンドは天下一品だ」 涙を流して感激するツボミに、 「いくらダイエットったって、朝食べてないのに昼も抜こうなんて無茶なんだよ」 沙羅は呆れて言う。 優子まで、 「どうせ朝から、またパパとケンカして、ご飯も食べずに出てきちゃったんでしょう」 「……」 ツボミが無言を貫くのをみると、どうやら図星のようだ。 沙羅は、 「今度は何、スカートが短いとでも叱られた?」 ツボミの父親はちょっと呆れるほど過保護だ。 すると優子まで、 「きっと朝ご飯の納豆がイヤだって、駄々こねたんじゃないの」 そしてツボミは、時々ものすごく子どもっぽい。 人より怒る沸点がかなり低いのだ。
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