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円盤
空とぶ円盤は、アメリカからはじまって、世界じゅうの空にあらわれました。日本にもあらわれたことが、ずっとまえの新聞にのっていましたが、そのお話のはじまるころには、それが日本の空に、しきりにあらわれるようになったのです。大きなおさらのような丸いものが、ひじょうな早さで、高い空を飛んでいくのです。どこかの国の新がたの偵察飛行機ではないかという人もありました。いや、ひょっとしたら、宇宙のどこかの星から、地球のようすを、さぐりにきたのかもしれない、という人もありました。
でも、おおくの人は、
「そんなばかなことがあるものか、大都会の人が、空をながめていて、みんなが見たのなら信用できるが、山おくや、いなかの人が、ひとりや、ふたり見たというのでは、見ちがいということがある。大きな流星を、円盤のように感じたのかもしれない。また空には蜃気楼のような現象がおこるものだから、山道などを走っている自動車のヘッドライトが、空にうつって、ちょうど円盤が飛んでいるように、見えたのかもしれない。いずれにしても、そんなふしぎな飛行機などあるはずがない。なによりのしょうこには、空とぶ円盤が、この地球の上へ、一どだって着陸したことがないじゃないか。」
といって、まじめに考えようともしませんでした。
しかし、空とぶ円盤のほうでは、そんなうわさにはむとんじゃくに、このごろでは、また、ほうぼうの国へと、しきりと、あらわれるようになりました。いままで、あまり飛んでこなかった日本の空へも、たびたび、すがたをあらわすのです。でも、じっさいに、それを見た人は、ごくすくないのですから、新聞にそのはなしが出ても、見ない人たちは信用しません。きっと、なにかほかのものと、見まちがえたのだろうと、たかをくくっていました。
ところが、ある日のこと、空とぶ円盤をバカにしていた人たちを、アッといったまま、息もできないほど、びっくりさせる事件がおこりました。それは、いったい、どんなできごとだったのでしょう。それをおはなしするまえに、まず、平野少年を、ごしょうかいしなければなりません。
「ワケが分かんねぇ!江戸川乱歩!?ふざけんな!俺がこんなに苦しんでんだ!」島津は斧で犬をグチャグチャに切り刻んだ。
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