1 クラスメイト

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「あ」  その瞬間、二人一緒に声を上げた。  さっきまで沙耶が立っていた場所に、白い液体状のものがボトリと落ちて来たのだ。 「うわ、間一髪じゃん」  詠太はホッと息を吐いて、沙耶の顔を振り向いた。沙耶は目を丸くして、地面にできた染みを凝視して固まっている。詠太は思わず笑ってしまった。 「よかったな、爆撃されなくて」 「ですね……あ」  沙耶は、そこでようやく我に返ったようにハッとした顔をし、深々と頭を下げた。 「あ、ありがとうございました。その、き、危険をお知らせくださって……助かりました」  「えっ? あ、いや……どういたしまして、だけど、さ」  詠太はバツが悪そうに頭をかいた。  クラスメイトにそんな風に仰々しく敬語使われるのが、ひどく居心地が悪かったのだ。  沙耶は頭を上げると、そのままくるりと踵を返して詠太に背を向けた。どうやら、詠太と会話を続ける気はさらさらないらしかった。  詠太はそっと息をついた。   嫌われているとは感じないが、さすがにこの態度はちょっとへこむ。
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