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「あの、倉本さ……」
詠太は思い切って、ズバリと聞いてみることにした。
「倉本って、男嫌いって聞くけど……それ、ホント?」
沙耶は少驚いたように詠太を見返した。
「……そんなにはっきり聞かれたの、初めて、です」
「あ。ご、ごめん。オレ、遠慮なくて」
沙耶は首を振って視線を落とした。
「別に……私、男の人が特別に嫌いってわけじゃないんです。でも、そんな噂があるのは知ってるし、それが本当って思われても全然構わないって思ってます」
どこか投げやりにも聞こえるその口調に、詠太は首を傾げた。
「どうして?」
「嫌いじゃないけど、苦手は苦手ですから。理解できないって思ってます。あまり関わりたくないって思ってるのは本当だから」
「関わりたくないって……」
「不愉快にさせたならごめんなさい」
沙耶が申し訳なさそうに言う。詠太は苦笑した。
「あー、うん、大丈夫。オレの方こそごめん、関わりたくないのに、いろいろ聞いちゃって」
「え――あ! 今の、私そんなつもりじゃなくて――す、すみません」
沙耶が慌てたように頭を下げる。これには詠太の方が焦ってしまった。
「あ、いやいや! オレもそういうつもりじゃなくて――っていうかさ!」
詠太は慌てて話題を逸らした。
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