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アナタと言う形をした白
ある日。
私の祖母が、幼い頃の私に、白いボールを渡して
それは、いつか貴方自身となるから大切に持っておくのよ。と幼い頃の私は、
家族の様に、白いボールを肌身離さず。
出かける時も、眠る時も、ずっと側に、置いていた。
物心も付き、友達が出来て、私は、その白いボールに、色んなシールや
落書きをして。
白いボールを汚してしまった。
子供ながら、汚いと感じた私は、
マジックとクレヨンで、汚れたボールを青く塗りつぶした。
今度は、その青いボールが、綺麗に見えて。また肌身離さず側に置いた。
小学生に、上がった頃
青いボールを持って、男の子も交じって外で、一生懸命遊んだ。
綺麗だった青いボールは、いつの間にか傷だらけになって
ボロボロになってしまったので、母に、新しいボールを買って貰おうとしたけれど
母は、祖母から貰ったボールだから大切にしなさいと。
仕方なくセロハンテープで、ボールの傷ついた所を補った。
中学生になった私は、いつしかボールの事など忘れ
恋愛に夢中だった。彼は、サッカー部のエースで、同級生の中でも
かなり人気のあった男の子。
勇気を持って告白するも、彼には、もう既に彼女がいた。
受験も始まり、酷く荒れていた頃の私は、よく部屋で必要ない物に当たっていた。
目に入ったボールも、その一つ。
私は、汚くなったボールを、物置にしまった。
高校生になり、バイトを始め。
勉強と、バイトの疲れで、ボールの事などすっかり忘れてしまっていた。
社会人になり、久しぶりに物置を掃除していた時。
ふと傷だらけのボールを見つけて、祖母からもらった事を思い出した私は、
タオルを濡らしてボールを吹いて埃を払い傷ついた所を、不器用ながらまたテープを貼って
汚したクレヨンとマジックの色を拭き取った。
あんなに綺麗だった白いボールは、いつの間にか
複雑な色になっていた。
『いつか貴方自身となるから大切に持っておくのよ』
ふと私は、祖母が、このボールをくれた時に、言った言葉を思い出した。
ただのボールなのに、まるで私の心の様に
いつの間にか、こんなに汚れちゃったのね。
私は、その日から。
このボールの事を心にしまって。
一から気持ちを入れ替えた。
複雑な色の時は、真っ白だった事を思い出して。
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