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3 その店は、暗い照明の割にたくさんの人が居た。 すでに酔っ払いの私たちに、ウエイターさんもお客さんたちもニコニコと接してくれた。 「楽しいね~」 「ほんと楽しい~」 いつの間にかお店のお客さんたちみんなと乾杯しながら喋っていた。 さすがに飲みすぎたと思った私は飲むのを止めたけれど、他のバイト仲間はガンガン飲んでいた。 隣のテーブルの大学生風の男の子が、 「みんな手に四角い物持ってるけど、それなに?」 と言ってきた時には私たちは爆笑した。 「何ってスマホだよ~!自分だって持ってるでしょ~?」 するとちょっと離れた席のおじさんが、 「今ってみんなスマホだね~。そんな小さい電話に縛られて、面倒くさくない?」 うわぁ、面倒くさいのはアナタだよ~と思ったのもつかの間、一緒に居た先輩が、 「ああ、確かに面倒くさいかもぉ~」 と言い出したではないか! はあ?片時もスマホを離さない先輩がなに言ってるの? なのに、今度は違うバイト仲間まで、 「わかるわかる~!面倒だよね~」 なんて言いながらゲラゲラ笑い出した! なに?どうしたの?と思ってるうちに、 スマホ面倒!いらない!捨てちゃえ~! お店中で大合唱が始まった! なにが起こっているのかわからないうちに頭の中が大合唱でいっぱいになっていった。
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