第1章:新しい上司

10/20
前へ
/498ページ
次へ
課長は私に別のカクテルを頼んだ後に 素っ気なく 「あんなやつやめれば?」 と言った。 「え?」 「大事にされてないんじゃない?」 そう続け、白ワインの入ったグラスを口にした。 顔は昔から全然似てないな、と 目の前の課長を見て思った。 課長は私たちの二つ年上で、 ほぼ話したことはなかったけれど 高校の時の陸上部の先輩でもあった。 陸上部ではエースで、 それはもうオモテになっていた。 短距離選手特有の綺麗な筋肉のついた体、 そして何と言っても整ったクールな顔で、 女子のファンがいつも囲っていた。 俊哉は俊哉で 課長とは真逆のアイドル系の甘い顔立ちだったが、 課長に負けず劣らず学校ではモテていた。 身長は同じくらい高かったが、 スポーツはしていなく、細身だった。
/498ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4557人が本棚に入れています
本棚に追加