第1章:新しい上司

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12年の付き合いの中で もしかしたら浮気はしているかもしれないと 思うことは何回もあった。 だけど、こうして初めて目にして 悪びれもなく 言い訳もなく、 立ち去る姿にショックを受けた。 12年間・・・ なんだったんだろう。 泣きたくないのに 目からはどんどん惨めさがこぼれ落ちる。 しまいにはエントランスホールのど真ん中で 泣き崩れてしまった。 そんな私を課長は 人目にさらされないようにとの優しさで、 抱きしめながら、顔を隠してくれた。 課長が私を泣かせているわけではないのに 周りにいる人たちは まるで課長が私を泣かせたかのように 思っていたに違いない。
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