48人が本棚に入れています
本棚に追加
「来てくれたの!? ありがとう!」
美砂にとっては、久しぶりの『J moon』だ。
ママの蓮華は懐かしそうに、嬉しそうに、美砂を出迎えた。
恋愛面ではライバルであったはずの蓮華だが、美砂は始めの頃と同じ親しみが復活するのを覚えた。
「いろいろとすみませんでした。本当は、ここに顔を出せる義理じゃないんですけど……」
「そんなことないわよ、全部あたしが悪いんだから。また来てくれただけですごく嬉しいわ! 今、奏汰くん、セッティング中だけど、後で話せるから」
美砂が安堵して蓮華に微笑む横では、須藤が少し複雑そうに、蓮華を見つめている。
「どうしたの、晃くん? いつもの元気がないわね?」
「はあ、まあ……」
それは、美砂も感じていた。
ここへ向かう電車の中でも、なぜか彼が浮かない様子でいるように、美砂にも思えていた。
蓮華には見当が付いたらしく、微笑んだ。
「わざわざ、イヴに二人でここへ来たってことは、二人とも……なんでしょ?」
蓮華が二人に、にっこりと笑った。
ハッと、思わず美砂も須藤も顔を見合わせた。
彼を見つめる美砂の頬が染まっていく。
須藤が、「あれ?」という顔になった。
蓮華が微笑みながら、「そういうことだから、自信持って」と、美砂に聞こえるよう言い、須藤の肩をポンと叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!