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「今日は、どうだった?」
仕事の後、アパートの奏汰の部屋を、私服に着替えた蓮華が訪れた。
「もー、ひどいんだよー」
奏汰が、その日の出来事を話す間、蓮華はおかしそうに聞いていた。
「橘先生が言うように、中には真面目な子たちもいてさ、俺の授業聞いて、その後、自分たちで配線考えてくれたりってのもあったけど、その子たちにじっくり教える時間もなく、他の子たちに邪魔されて……」
愚痴を言うと、奏汰は蓮華を抱きしめた。
「ああ、こうすると落ち着く」
奏汰の腕の中で、蓮華は微笑んだ。
「ハグすると、ストレスが減るんですって」
「やっぱり?」
笑ってから、奏汰は、さらに彼女を抱きすくめた。
蓮華の手も、彼の背に回る。
「あたしも、嫌なお客がいても、こうしてると気が紛れるわ」
「何か嫌なことあったの?」
「ううん。あっても平気。奏汰くんがいるから」
奏汰は、蓮華を強く抱きしめた。
「俺も、蓮華がいるから、大丈夫だ」
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