エピローグ

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ふっと目が覚めた。 大輝の目の前には前の座席のシート、隣にはスマホをいじる友達の木下。更にその向こうにはまだ寝ている青山。 ー俺、生きてる…よな? 「…なぁ、木下、ここどこ?」 「ん?京都過ぎたよ」 「なぁ、俺ら今から広島行くんだよなぁ」 「そうだよーお前寝ぼけてるな」 ーなんだったんだ今体験したのは…? 眠ってしまって夢を見た、そう解釈するのが一番整合性のある答え。でも大輝はどうしても解せない。 ーだって抱きしめたゆきちゃんの身体のぬくもりも、だいきさん、と呟いた声も、こんなにはっきりと覚えているのに。 その時、窓ガラスが振動して反対方向に向かう新幹線とすれ違った。高速で一瞬にして行き交う最先端技術の乗り物。 ゆきちゃんが乗るはずだったレトロな電車を思い出す。 あの電車には何人の人が乗っていたのだろう?何人の人が広島市内に向かい、何人の人が被害に遭ったのか? せめて自分が電車に乗るのを止めたゆきちゃんだけでも、無事だったと思いたい。 大輝は思う。 70年以上前の事でも、様々な想像力を働かす事は出来る。自分に関係ないなんて、そんな事ない。 ゆきちゃんと出会ったから、そんな風に思える。 新幹線内の放送が、もうすぐ大阪に到着する事を告げる。 ーそういえば、大阪のひいばあちゃんて雪子じゃなかったかな?ゆきちゃんの字は知らないけど、同じ名前じゃん。今度の夏休み、遊びに行きたいって母さんに頼もうか。 終
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