プロローグ

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「初日はとりあえず平和学習?」 「例のドームと資料館だろ?」 「一応それが今回の一番の目的だからな。でも70年以上前の話しだから実感わかねえよなあ」 「だよなぁ、ヒロシマに親戚いるわけでもなし、確かに実感わかねえよ」 「俺んとこも親戚で一番離れてる人で長野だもん。ヒロシマは縁もゆかりもない。大輝んちは大阪だっけ?USJ行く時に会うとか言ってたじゃん」 「そうそう、母方のバアちゃんは今は東京に住んでるけど出身は大阪。バアちゃんの兄弟やひいバアちゃんとかも大阪に住んでる。ヒロシマは俺んちも全然関係ないよ」 「はあー、眠くなってきた。東京からは長いよなぁ」 「出発早かったもんなあ。確かに眠い」 修学旅行先の広島に向かう新幹線の中で、始めは皆もはしゃいでいたが、名古屋に近づく頃には眠りに入る生徒も増えてきた。狭山大輝(さやまだいき)も押し寄せる眠気に抗えず、瞼が閉じていく。
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