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「いや~さ~、こないだ練習試合でT高に行ったんだけど、そこでたまたま幼馴染に会ってさ」
もしかしたらのもしかしたら、だったかもしれないと浩介は机に肘を置いて手のひらに顎を乗せた。長話になるかはわからないが、聞きやすい体勢に変えたのだ。
「久々に会ったし、なんか語りたいみたいなノリになって今週の土曜日に会おうぜってなったんだけど」
「なったんだけど?」
「いや~だからさ~お前らもどうかな?って」
「嫌だよ。どうして俺達まで行くのさ」
「だから!そいつが誰か男紹介してくれって言うからさ、そしたらみんなで集まろうってなるじゃんね。みんなで語らおう!的な?」
もしかしたらだった。
「それってコンパっていうの?かな」
「んー、親睦会だよ!」
細谷とは中学からの受験組だ。
中学時代に同じクラスになったこともあれば、それこそ同じ部活だった。遼太郎と3人で遊びに行ったこともあるし、何なら家に遊びにきたこともあれば、ご飯を食べたこともある。
確かに細谷という男は誰ともどんな人とでも瞬時に打ち解けて、気の合う仲になってしまう。このクラスに至っても、みんなと普通に話ができる。派閥などに関係がなく。
その能力は認めるが浩介は派閥などにも興味もないし、クラスメイトみんなで仲良くとは思ってはいたとしても、わざわざそれを口にしたりはしない。
細谷は好きだが、この細谷のコミュニーケーション能力はよく面倒事を引き寄せてしまう。その部分だけはあんまり好ましくはないと浩介は思っている。遼太郎はどう思っているから知らないが。
だからといってみんなで仲良くすることは良いことだ。しかし、そういう人と人の集まりであるこういう場では面倒事が絶対起こる。それに巻き込まれたくないというのが本音かもしれない。
「コンパでしょ?」
「親睦会!」
親睦会ってなんの親睦会だと言ってやりたかったが、わざわざ声を荒げてまで言うことでもないと判断して浩介は冷静になった。
「どうしてもダメ?」
「んーどうしてもってわけじゃないけど、そういうのめんどくさい。っていうかなんで俺達なの?」
「だって、俺ってばこーちゃんやりょーちゃんたちから恋愛話聞かないなーっと思って。恋愛相談されたいじゃん」
なんて女子っぽい発言だろうか、まったく。
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