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家から学校までの道すがら、話題は今日のコンパの話しになった。もういい加減うんざりする。
細谷はもちろんのこと、遼太郎も心なしか浮かれているのが窺えたからだ。
「楽しみ...なわけ?」
「えっ?あー...まあ、そりゃ~な。普段部活ばっかで中々こういう機会ないし、せっかくなら楽しみたいし」
歩く速さが変わったわけでもないのに、心臓のどくどくという音をより感じる。暑さのせいだ冷静になれ、と自分に心が告げている。
「...ふーん」
「...なんだよ」
「いや~別に。りょーちゃんでもそういうこと思うんだなーって」
「俺も、んー、まあ男子校生だしな」
「へぇー、左様ですか~」
「さっきからなんだよ」
「なんでもありませーん」
そう言って自然と早歩きになった。ちくりと痛んだ胸は気のせいだ。この遼太郎への想いも気のせい、気の迷い、気まぐれだなんて言葉で片付けてしまいたかった。
この気持ちが報われないことだって理解している。自分が異常なことも。それでもまだ側に、近くに居られる間はこの恋心に少しでも寄り添ってあげたいと思わずにはいられないのだ。
ぎゅっと胸が締め付けられたみたいに疼いて、浩介はそっと胸に手を当てた。
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